ほんとうの世界─認知の転換と悟り|猫物語72話

モノとチャトラの物語

ある日の夕暮れ。

モノは窓辺に座って、空の色をじっと眺めていた。

オレンジから群青へと変わっていくグラデーション。

けれどモノの目には、それが「夜が迫ってくる暗さ」として映っていた。

「なんや……だんだん、世界が沈んでいくみたいや」

そうつぶやくモノの横で、チャトラが首をかしげた。

そのさらに後ろ。
棚の上から、ソラ君が静かにこちらを見ていた。
夕暮れを映した瞳が、ふたりの会話にそっと寄り添う。


それぞれの「世界」が違って見える理由

チャトラが言った。

「わたしには、むしろ星がひとつずつ目を覚ましていくみたいやけど?」

モノは驚いてチャトラを見た。

同じ空を見ているはずなのに、まるで正反対の世界がそこにあった。

ソラ君が棚から音もなく降りてきて、
窓辺にちょこんと座った。

その瞳には「暗さ」でも「明るさ」でもなく、
ただ移りゆく色そのものが映っていた。

モノはその目を見て、ふっと胸がゆるんだ。

「……同じもん見とるのに、なんでそんなふうに見えるんや?」

チャトラは少し考えて、笑った。

「たぶん『どう見るか』やと思う。
夜は『暗い時間』やなくて、『星がいちばん輝く時間』やって思えば……
世界は違って見えるんやない?」

そのとき、横に座ったソラ君が
窓の外の空に向かって、ゆっくりまばたきをした。

そのまなざしは、
『どの見方も間違いじゃないよ』
と静かに伝えているようだった。


見え方が変わる瞬間

チャトラの言葉を聞いて、
モノの胸の奥で何かがふっとほどけた。

今まで「暗い」としか思えなかった景色が、
たしかに少し違って見えたのだ。

ちょうどそのタイミングで、
ソラ君が身体を少し傾け、
窓の外の最初の星を見上げた。

「……ほんとや。空は沈んでいくんやなくて、星が出てくるんやな」

モノの目に、
星がひとつ、ふたつと光を放ち始めた。

ソラ君の鈴が、
風に揺られてかすかに鳴った。
その音が、モノの視界をさらに鮮やかにする。


世界はひとつじゃない

同じ世界なのに、見方を変えただけで全く別の景色になる。

その瞬間、モノは気づいた。

――ほんとうの世界は、いつもひとつやなく、
見方の数だけ広がっているのだ、と。

ソラ君はその気づきを見届けたように、
静かにしっぽをふわりと揺らした。
『その通りだよ』 と言うように。

モノとチャトラの間に流れた新しい空気は、
もう「沈んでいく夕暮れ」ではなかった。
世界が『開いていく音』がした。


筆者のことば

心理学では、ものの見方を変えることを「認知の再構成(リフレーミング)」と呼びます。
同じ出来事でも、「失敗した」と捉えるか「学びになった」と捉えるかで、心に与える影響は大きく違います。

脳科学的に言えば、わたしたちは日々、脳のフィルター(網様体賦活系=RAS)を通して情報を選び取っています。
つまり「どういう意図を持って世界を見るか」で、現実の見え方が変わってくるのです。

悟りとは特別な体験ではなく、日常の中で「ものの見方が変わる」小さな気づきの積み重ねなのかもしれません。

この物語を書きながら、わたし自身も「あ、同じ世界でも見方を変えれば違う景色が広がるんだ」と改めて感じました。
疲れているときほど「暗さ」ばかりが目についてしまうけれど、その奥には必ず「光」があります。


モノとチャトラより、あなたへ

もし今日、何かを「暗い」「嫌だ」と感じたなら、
少しだけ見方を変えてみて欲しいんだにゃ。

暗いの逆には、明るいがあって、嫌の反対には好きが必ずあるんだにゃ。
それは「星が輝くサイン」かもしれないんだにゃ。

心のワーク

  1. 今日「暗い」と思った出来事を書き出してみましょう。
  2. それを「別の見方」で表現するとどうなるか考えてみてください。
  3. 最後に「その見方を選んだとき、自分の気持ちはどう変わるか」を感じてみましょう。
  4.  

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悩んだとき。
ひとりで抱え込みそうなとき。
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モノとチャトラの物語全話はこちら:
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