なにも急がなくていい朝|猫物語92話

声が大きい人が苦手なHSPの方へ癒しのロシアンブルーっぽい猫 モノとチャトラの物語

朝。

カーテンのすき間から、やわらかな光が差し込んでいた。

モノはまだ半分眠ったまま、丸くなっている。
チャトラは先に目を覚まして、静かに天井を見つめていた。

昨日は、なにも起きなかった。

そして今日も、今のところ、なにも起きていない。

──それなのに。

「……なぁ、モノ」

チャトラは、小さな声で呼んだ。

「今日さ。
まだ始まってへんのに、ちょっと不安や」

モノは、片目だけ開けてこちらを見た。

「どうしたん」

「昨日も何も起きへんかったやろ。
今日も、たぶん、普通の日になるやん?」

チャトラは、前足をぎゅっと重ねた。

「なんか……
このままでええんかなって、思ってまう」


なにも起きない朝が、怖くなる

モノは、ゆっくり起き上がって言った。

「それな。
安心が続くときに出てくる不安やな」

チャトラは、はっとした。

「やっぱり?」

 

「うん。
ずっと気ぃ張って生きてきたらさ、
『何も起きない状態』のほうが、異常に感じるんや」

チャトラは、天井から目を離さずに言った。

「わたしな、
朝起きて、怒られる気配もなくて、
急がなあかん感じもなくて……

……それが、ちょっと落ち着かへん」

モノは、小さくうなずいた。

「それ、身体がまだ『戦闘モード』に慣れとるんやと思う」


安心は、信じ直す感覚

「なぁチャトラ」

モノは、朝の光の中で続けた。

「安心ってな、
急に『よし、安心しよ』って切り替えられるもんやないんや」

「え……?」

 

「昨日の夜みたいに、
なにも起きへん一日を終わらせて、
今日の朝も、ちゃんと目が覚めて、
それが何回か続いて……

その積み重ねで、やっと身体が覚えるもんや」

チャトラは、少し黙ったあと、ぽつりと言った。

「……じゃあ、
今そわそわするのも、失敗ちゃうんやな」

モノは、しっぽで床をとん、と叩いた。

「ちゃうちゃう。
回復の途中や」


今日を、急がずに始める

外で、小鳥の声がした。

チャトラは、その音に耳をすませながら言った。

「……今日はさ。
なにも起きんでもええって、思ってみてもええんかな」

モノは、あくびをひとつして笑った。

「ええで。
むしろ今日は、『なーんも急がん』の練習の日やな」

チャトラは、深く息を吸って、ゆっくり吐いた。

「……ほんなら、今日は
起きるだけ起きて、
できたらそれでええ、にするわ」

朝は、静かに始まった。

なにも決めなくていい朝。
なにも証明しなくていい時間。

それでも一日は、ちゃんと始まっていた。


モノとチャトラより、あなたへ

なにも起きていない朝に、
なぜか落ち着かなくなること、ないかにゃ?

それは、あなたが弱いからじゃないにゃ。
ただ、安心を信じ直している途中なだけにゃ。

急がなくていい朝も、
回復の大切な一部にゃ。


筆者の言葉

臨床心理学では、長期間ストレスや緊張状態に置かれていた人ほど、
「安全な状態」に入ったときに不安や違和感を感じやすいことが知られています。

これは、脳や自律神経が長く『警戒モード』で働いてきた結果、
安心・平穏という刺激にまだ慣れていないためです。

安心は「理解するもの」ではなく、
繰り返し体験して身体に学習させていく感覚です。

なにも起きない朝を、なにも起きないまま過ごせた──
それ自体が、回復が進んでいるサインでもあります。

不安が出てきても、「戻った」「失敗した」と判断せず、
「いま、安心に慣れている途中なんだ」と捉えてみてください。

その視点が、心をさらに回復へと導いてくれます。

 

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