境界知能という言葉を知って、私は少し楽になった

頭をぶつけ合う2頭の動物──勝ち負けにこだわる心理戦のイメージ 夫婦関係

― わかってもらえないを10年以上続けた私の話 ―

※この記事は、実際の相談事例と筆者自身の体験をもとに再構成しています。個人が特定される内容ではありません。

「なんで、こんなに伝わらないんだろう」

ある女性クライアントが、静かにそう語り始めました。

何度も説明してきた。
噛み砕いて話した。
具体例も出した。

それでも、話が通じない。

でも、彼は誠実な人なんです、と彼女は言う。

だからこそ、彼女は苦しかった。

「悪い人じゃない。
 でも、どうして構造が見えないのかがわからない。
 理解ができない」

そして最後に、こう続けました。

「もしかして、私が難しく考えすぎているんでしょうか?」


自分を疑い続ける10年

『わかってもらえない』という経験は、
怒りよりも先に、自責を生みます。

・私の言い方が悪いのかも
・私が求めすぎなのかも
・私が神経質なのかも

彼女は10年以上、そのループの中にいました。

話が通じないことよりも、

「通じない理由がわからない」ことが、
一番つらかったのです。


境界知能という言葉を知った日

ある日、「境界知能」という概念を知りました。

IQ70〜85の範囲。
知的障害ではない。
発達障害とも別。

WAIS4という知能検査では、

・抽象的な推理
・視覚的な構造把握
・処理速度

など、特定の部分に弱さが出ることがあると結論づけられることがあります。

人格の問題ではない。努力不足でもない。
脳の処理の構造の差。

その言葉を知ったとき、
彼女はぽつりと言いました。

「そりゃ、わからんわ」

そして、少しだけ笑ったのです。


安心したのは、責めなくて済んだから

彼女が安心したのは、

「相手を下げられたから」ではありません。

「私が足りなかったわけじゃない」と
思えたからでした。

今までは、

『理解できるはずの人が理解してくれない』
という前提で話していた。
だから、悲しいし、裏切られた気になる。

でももし、

『そもそも抽象レベルの処理が難しい構造』
だったとしたら?

怒りの向きが、少し変わります。

「なんでわからないの?」から
「どこまで見えているんだろう?」へ。

これは諦めではなく、健全な前提の修正なんですよね。


きれいごとでは終わらない

もちろん、それで全部が解決するわけではありません。

フォローする側に回ることが多いと、
どこかで疲れてしまう。
初めて出会った彼女は 疲れ切っていました。自責して、理由もわからず、困惑していた。

彼女の本音はこうでした。

たまには守られたい。
たまには甘えたい。

その気持ちが消えない。

私は贅沢なんでしょうか?

あまりにも理解してもらえないことが続くと、
自分を守るためなのか、
相手お見下してしまいそうになる。

と。

境界知能が「理由のひとつ」かもしれない

この話は、誰かを診断したいわけではありません。そして、誰かに責任を負わせたいわけではありません。

ただ、「理解できない理由」は一つではないということを知ってほしい。それから、あなたは十分向き合ってきたと伝えたいのです。私の大切なクライアントに。

・性格の問題
・愛情の欠如
・努力不足

そう決めつける前に、

『処理の構造の差』という可能性がある、と言うこと。。

それを知るだけで、
自分を責めなくて済む人がいるかもしれない。


それでも、関わり方は選べる

理解できない=愛がない では決してありません。
理解できない=悪意がある とも限らない。当たり前です。愛しているのに理解できない人の多いこと。

ここで伝えたいのは、構造差があるのなら、あなたの期待の置き方が変わる。と言うこと。

私がクライアントに伝えたいのは、

「私は悪くなかった」

そう思えることで、少し楽になる、と言うこと。現実は誰か一人の責務によらない。
偶然だと思うのです。


もしあなたも、

「どうしてこんなに通じないの?」

と何年も苦しんできたなら。

あなたが足りないわけではない。

前提が違っているだけかもしれません。

このシリーズでは、
境界知能という概念と、
夫婦のすれ違いの構造を、少しずつ整理していきます。


次回は、
境界知能とは何か?発達障害との違いについて、
できるだけわかりやすく解説します。

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