それは、ふたりにとって特別な日になった。
きっかけは、ささいなことだった。
「ねぇ、モノ〜。なんで昨日、先にクッション取ったの?」
「え?チャトラがいつも使ってない方で寝てたから、いいんかなって思って……」
「わたしは昨日、敢えてあっちにしてただけやし!」
チャトラのしっぽが、めちゃめちゃ太くなって立ってた。
「……もういい!」
そう言って、チャトラはぷいっとベランダに出て行ってしまった。
残されたモノは、しょぼんとした顔でおにぎりを見つめていた。
「……あんなに怒るとは、思わんかったな、、そんな酷いことやったんやろか」
夜になっても、チャトラは戻ってこなかった。
しーんとした部屋に、モノの寝返りの音だけが響いた。
だけど翌朝。
モノがぼんやり玄関を見ていると、チャトラが、ふらっと戻ってきた。
「……ただいま」
「おかえり、チャトラ」
「……ちょっと、、、わかってほしかった。。」
「うん。ごめん。話聞く」
ふたりは、いつものクッションを分け合って、少しずつ、心をほどいていった。
モノとチャトラより、あなたへ
ケンカって、悪いことじゃない。
「わかってほしい」「気づいてほしい」その想いがあるからこそ、すれ違いも生まれるのにゃ。
すれ違った分だけ、ほんとうの想いを伝えるチャンスがあるのにゃ。
筆者のことば
ケンカのあとに、ちゃんと話せた経験があると、
わたしたちは「人とはわかり合うことができる」って希望を持てます。
小さなすれ違いでも、怖くなって黙ってしまうクセがある人も多いけど、
「ごめんね」や「ほんとはこう思ってた」って言葉を交わせる場があると、それだけで心はほぐれていく。
この物語が、そんな勇気のきっかけになるといいなって思いました。
わたしは、喧嘩するのが本当に無駄だと思っているタイプで。
お互いに、気遣いつつ、話し合いができればいいと思っていたタイプです。
なので、声を荒げたりするのが本当に意味がわからなかったんですよね。
でもね、わたしの夫は基本のトーンが、怒ってるんです!笑
え?なぜ?と思うのだけど。
心理学的に見る「修復の対話」と安心感の回復
心理学では、人間関係における「衝突のあとの修復」が関係の質を大きく左右することが知られています。
とくにJohn Gottman(1999)の研究によれば、「衝突があったとしても、その後に“修復”できるカップルや親子関係は、長く良好な関係を保てる」とされます。
また、「感情を表現すること」は、自分の心を整理し、他者との距離を縮める鍵になります。
臨床心理学の文脈では、「感情のラベリング(emotion labeling)」や「自己開示(self-disclosure)」によって、自分の気持ちを言葉にすることが、不安やストレスの軽減につながるとされています(Pennebaker, 1997)。
「ほんとはこう思ってた」と伝えることには勇気がいりますが、相手に誠実さや信頼のメッセージが届くと、
脳内のオキシトシン(愛着ホルモン)も分泌され、安心感や絆を強める効果もあるといわれています。
そして何より、「黙ってしまうクセ」がある方にとっては、小さな一言でも大きな一歩です。
その一歩が、「わかりあえるかもしれない」という希望を育て、新しい人間関係のパターンを築くことにつながります。
だからこそ、わたしたちは何度でも、対話することを選んでいい。
この物語が、そんな対話の「小さな入口」になれたら嬉しいです。
🪶心のワーク|“わたしの本音”を感じてみよう
- 最近、誰かとすれ違った出来事はある?
- そのとき、あなたはどんな気持ち、感情を飲み込んだ?
- その気持ち、感情に、どんな言葉をかけてあげたい?
紙に書き出して、自分の気持ちに気づいてあげてください。直接相手に伝えられなかった言葉でも自分の体の外に出すことで、とてもスッキリするのです。
📘 Kindle書籍も公開中
心にそっと寄り添うストーリーと、心理学のエッセンスをぎゅっと詰め込んだ 4冊をKindle出版しています。
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心理学のエッセンスをやさしく織り込んだ 4冊を
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悩んだとき。
ひとりで抱え込みそうなとき。
まだ「相談」と呼べるほど、言葉になっていないとき。
自分の本音がどこにあるのかわからなくなった心に、
小さく光が灯るように──
あなたが あなたに戻れるように──
そんな願いを込めて書いています。
🌊 第4作目:『水のほうへ ―― 光と闇の法則・澪編』
がんばっているのに、なぜか息が苦しい。
ちゃんと話しているはずなのに、心がすり減っていく──
「強くなること」を選び続けてきた女性・澪が、
もう一度“自分に戻る”までを描いた、静かな再生の物語。
境界線・呼吸・安心感をテーマにした一冊です。
🌙 第3作目:『話してるのに伝わらない夫と、心がすり減る妻』
「どうしてこんなにすれ違うの?」
「話しているだけなのに、なぜ傷つくの?」
夫婦・パートナー間で起こる
見えない心理のズレを言語化し、
境界線の視点からほどいていく一冊。
🪞 第2作目:『光と闇の法則 ―― わたしを映す8つの鏡』
HSP気質、インナーチャイルド、自己肯定感の低さ──
心の奥にあるテーマを
「8枚の鏡」という物語構造で、やさしく見つめ直す本。
自分を責めるループから抜けたい人へ。
🥚 第1作目:『わたしと仲直りする優しいレッスン』
完璧主義、罪悪感、自分責めに疲れてきた方へ。
セルフ・コンパッション(自分への思いやり)という
新しい選択肢を、具体的な実践とともに届ける
『読むだけで少し楽になる』心のレッスン帳。
📚 どの本も共通しているのは、
答えを押しつけないこと。
無理に変えようとしないこと。
読むことで、
「あ、戻ってきたかも」
そんな感覚を思い出してもらえたら嬉しいです。
よければ、あなたの本棚にも一冊、
今の心に合うものを迎えてもらえたら──。
📚 シリーズ全話はこちら
モノとチャトラの物語全話はこちら:
https://kyoko.work/category/monotochatora/
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HSP気質で、人との距離感に悩んだり、
「ちゃんとしなきゃ」と自分に厳しくしてしまったり。
夫婦のトラブル、恋人同士のトラブル。これって別れた方がいいのかな?
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「わたし、このままでいいのかな?」
「ちゃんとできない自分を責めちゃう」
そんなモヤモヤも、心の奥にある『あなたの願い』も、大切に聴かせてくださいね。
── ひとりで抱え込まなくて、大丈夫。
あなたのままで、安心して話せる場所、ここにあります。
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