昼下がり。
部屋にはやわらかな光が満ちていて、
外では風が静かに木の葉を揺らしていた。
モノは窓辺で丸くなり、
チャトラはその少し離れたところで、床に座っていた。
なにも起きていない。
ケンカもない。
責められることも、急ぐ用事もない。
……それなのに。
「……なんかさ」
チャトラは、ぽつりと言った。
「このままで、ええんかな……」
声に出した瞬間、
自分でも不思議に思った。
今日は、穏やかな日だった。
安心できるはずの日だった。
それなのに胸の奥が、
そわそわと落ち着かない。
なにもないのに、不安になる
「なにか忘れてる気がする」
「このあと、悪いこと起きるんちゃうか」
理由はない。
でも、不安だけが静かに立ち上がってくる。
チャトラは前足をぎゅっと重ねた。
「……安心してると、逆に怖なるんやて」
その言葉を聞いて、
モノはゆっくりと顔を上げた。
嵐しか知らんと、静けさが怖なる
モノは、少し考えてから言った。
「それな……」
「おかしなことやないで」
チャトラは目を見開いた。
「ほんと?」
「わたし、贅沢言うとるんか思って」
モノは、静かに首を振った。
「嵐の中で生きてきたらな
静かな海のほうが、逆に怖なるんや
いつ波が来るかわからん
この静けさは、長続きせえへんかもしれん
そう思うクセが、身体に染みついとるだけや」
チャトラは、はっと息をのんだ。
安心は、慣れていない感覚
「……じゃあ、わたし」
「安心に、慣れてないだけなんかな?」
モノはうなずいた。
「そやな
安心はな、才能やなくて感覚やん
しかもその感覚って
最初から自然に持てるもんやないやん
危ない時間が長かったぶん、
安全を感じる回路が、まだ育ってへんだけや」
チャトラの胸に、
すとん、と言葉が落ちた。
「……わたし、平和が下手なんやな」
モノは、ふっと笑った。
「下手でええ
練習中やもん」
平和に慣れる時間も、回復の一部
しばらく、ふたりは何も言わずに座っていた。
風の音。
遠くの生活音。
静かに流れる時間。
チャトラは、少しずつ呼吸が深くなるのを感じた。
「……ソワソワしてもいいんかな。
安心できへん自分を、責めんでも、、、いいんかな」
モノは、しっぽで床をとん、と叩いた。
「当たり前やん
平和に慣れる時間も、ちゃんと回復ってことやし
今日落ち着かんでも、
身体が、少しずつ慣れてくし
『なにも起きへん日、、、これも安全や』ってね」
チャトラは、そっと目を閉じた。
「……今日は、これでええんか」
嵐のあとに訪れる静けさは、
最初は、少しだけ怖い。
でもその静けさの中で、
心は、確かに回復していく。
モノとチャトラより、あなたへ
なにも問題がない日に、
なぜか落ち着かなくなること、ないかにゃ?
それは怠けでも、後退でもないにゃ。ただ、安心に慣れていないだけにゃ。
平和を感じる練習は、ゆっくりでいいにゃ。その時間も、ちゃんと回復の途中にゃ。
筆者の言葉
回復期において「安心すると不安になる」という現象は、
心理学・神経科学の両面から説明されています。
慢性的なストレス環境や不安定な対人関係の中で生きてきた人は、
交感神経優位の状態が「通常モード」として固定化されやすくなります。
その結果、刺激や緊張がない状態に入ると、
脳や身体はそれを「異常」と誤認し、
かえって不安や警戒反応を起こすことがあります。
これはトラウマ反応の一種であり、
「安全が危険に感じられる」という逆転現象です。
重要なのは、
その反応を「おかしい」「未熟だ」と評価しないこと。
安心感はスキルや意志ではなく、
神経系が繰り返し体験することで学習していく感覚です。
チャトラのように、
安心できない自分に気づき、責めずにとどまること。
それ自体が、神経系の再学習を促す大切なプロセスです。
「平和に慣れる時間」も、
確かに回復の一部なのです。
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