月の階段でけんか─人間関係のもやもやと和解|猫物語26

喧嘩しても揉めても、自信は自分の中に。象徴のような青色の鉱石の写真 モノとチャトラの物語

夜の屋根裏に、ふんわりと月の光がさしこんでいた。
チャトラは、窓辺にちょこんと座りながら、しっぽをぱたぱた揺らしていた。少し機嫌が悪い。

ソラは、その隣で静かに本を読んでいた。表紙は『世界の鉱石と宝石図鑑』。まさに、ソラらしいチョイスだった。
……だけど、静かな時間は、ふとした一言で破られた。

 

「ソラって、いつも冷たいよね」
チャトラの声は小さくて、でも確かにトゲがあった。

ソラは顔を上げた。
「……なにが?」

「こないだのこと。わたしが これかわいい! って言った時、
あんた、 へぇ だけで終わったやん。めっちゃ素っ気なかった」

「あれは……その、うまく返せなかっただけ」

「なんで、わたしはいつも気ぃつかわなあかんの?」

チャトラの声が少し大きくなった。

「なんで、ソラは、もっと気持ちを見せてくれへんの? モノには優しいのに……」
ソラの目がすこし揺れた。でもすぐに視線を落とした。

 

「……チャトラに、どう思われるか、こわいんだ」

「え?」

 

「チャトラって、明るくて、いつもはっきりしてるよね。

僕には、それがまぶしく感じて……
この子に嫌われたら、きっと終わりだ
って、どこかで思ってたんだ。
だから、あまり近づきすぎたら、
壊れてしまいそうで……何も言えなかった。」

 

チャトラは目を見開いた。
「……そんなふうに思っとったん?」

 

「うん。ほんとうは、チャトラのこと、すごく大事に思ってるよ」

屋根裏の、古い木の階段を、月の光がゆっくりと照らしていた。

その階段を、チャトラは一段ずつおりて、
ソラの隣に腰を下ろした。

わたし、は、いつも『強くしてなきゃ』って思ってた。
誰かに頼るの、苦手なんやて……」

「似てるね」

「うん。似てるかもや」

ふたりの間に、あたたかな沈黙が流れた。

「これ、あげる」

ソラがそっと、ポケットから小さな石を取り出した。
空色で、うっすら虹色が差している。

「前に拾ったやつ。チャトラに似合いそうって、ずっと思ってた」

 

「ありがとう」

チャトラはその石を胸元にそっと抱いて、猫のように目を細めた。(猫だけどな)

もやもやが、すこし溶けた夜だった。


モノとチャトラより、あなたへ

人間関係って、近づけば近づくほど、すれ違いが起きたりするのにゃ。

でもその奥には、「ほんとはもっと仲良くなりたい」という、
やさしい想いがあるのかもしれないにゃ。

ちょっと勇気を出して、本音を話してみると、
意外と相手も同じ気持ちでいることって、あるのかもしれまないにゃ。

 

筆者のことば

私自身も、親しい人との距離感に悩むことがあります。

特に夫や、家族ですね。
子どもとの関係もどこまで踏み込むか、とか、言いすぎてしまった、とか。
悩むこともしばしば。

「言わなきゃ伝わらない」って、頭ではわかってるのに、つい黙っていたり。
逆に本音とはいえ、キツく言い過ぎてしまう事もあったり。
先日、又吉さんの言葉が、わたしに深く突き刺さりました。

又吉が「本音のほうがサボってる」と思う理由

又吉直樹 「30代になったらやめたほうがいいこと」として、
「“本音で話そう!”ってたまにあるじゃないですか。あれは大人はあんまり言わないほうがいい」と
語った又吉。

続けて、「本音はめちゃくちゃ人を傷つけたりする」と話し、
「例えば、悪意とか、納得いかへんこととか、これなんやねん! みたいなことを、
正直に告白するのが本音やとしたら、いらんのちゃうかな? と思って」

とその理由を説明した。 又吉は、大人の振る舞いとして、
心の中の本音をそのまま伝えるのではなく、

「頭の中で処理して、ここで自分が何を言うべきかを考えて言う」ことが大切だと言い、
「何も考えずに思ったことを全部言うってなったら、いろいろ大変なことが生じる」と危惧。

「僕なんて、本音でしゃべったら、本当に性格悪いところもあるし、
ズルいところもいろいろ出てくる」とぶっちゃけつつ、

「それを整理した上でお話するのが大事」だと主張した。

また、昨今の本音を求める風潮について、
「本音を意識しすぎたら、めっちゃ性格悪くなっちゃうかもしれない。人としゃべってても、“お前、話長いな~。知ってるわ!”とか」

とぼやいた又吉。

「本音に見える悪意ダダ漏れの性格悪い自分なんて本音じゃない。思考の途中なんですよ」
と語りかけ、
「野菜だけで出してるみたいな。料理せえよ! っていう。どっちのほうがサボってんねん? っていったら、本音のほうがサボってる」
と自身の考えを伝えていた。

これ、すごく考えなければいけないところだと思うんです。言葉を扱うものとして。
でもあまり深く考えて、言葉が紡げなくなるのも違いますね。
いろいろ考えてしまいますが。

この猫たちのやりとりを想像すると、不思議と素直になれる気がします。


心のワーク

  1. 最近、人間関係で「わかってもらえない」と感じた場面はありましたか?
  2. そのとき、本当はどんな気持ちを伝えたかったですか?
  3. 「伝える勇気」を持てたとしたら、何を言ってみたいですか?

 

 

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悩んだとき。
ひとりで抱え込みそうなとき。
まだ「相談」と呼べるほど、言葉になっていないとき。

自分の本音がどこにあるのかわからなくなった心に、
小さく光が灯るように──
あなたが あなたに戻れるように──

そんな願いを込めて書いています。


🌊 第4作目:『水のほうへ ―― 光と闇の法則・澪編』
がんばっているのに、なぜか息が苦しい。
ちゃんと話しているはずなのに、心がすり減っていく──
「強くなること」を選び続けてきた女性・澪が、
もう一度“自分に戻る”までを描いた、静かな再生の物語。
境界線・呼吸・安心感をテーマにした一冊です。


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🪞 第2作目:『光と闇の法則 ―― わたしを映す8つの鏡』
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心の奥にあるテーマを
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自分を責めるループから抜けたい人へ。


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『読むだけで少し楽になる』心のレッスン帳。


📚 どの本も共通しているのは、
答えを押しつけないこと。
無理に変えようとしないこと。

読むことで、
「あ、戻ってきたかも」
そんな感覚を思い出してもらえたら嬉しいです。

よければ、あなたの本棚にも一冊、
今の心に合うものを迎えてもらえたら──。

📚 シリーズ全話はこちら

モノとチャトラの物語全話はこちら:
https://kyoko.work/category/monotochatora/

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「わたし、このままでいいのかな?」
「ちゃんとできない自分を責めちゃう」
そんなモヤモヤも、心の奥にある『あなたの願い』も、大切に聴かせてくださいね。

── ひとりで抱え込まなくて、大丈夫。
あなたのままで、安心して話せる場所、ここにあります。
(守秘義務がありますので、相談内容はどこにも漏れません)

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